発展著しい口腔内スキャナーの中でも全顎印象の正確さに定評のあるプライムスキャンですが、ジルコニアなどを使用した自費診療において、厚みが大変重要な症例を扱う場合、形成分析を利用して形成途中に厚みを視覚的に確認することができる便利な機能があります。
先日、ジルコニアインレーの形成を見学させていただく機会があり、その際咬合面のクリアランスをプライムスキャンを使って確認することになりました。ただ、パラメーターの初期設定が2mm以上もあり、インレーには不適当でしたので1.5mmを目安に変更させていただきました。
ジルコニアは、クリアランスが1mm以下になってしまうと試適で割れなくても、セット後に割れることが稀に起こることが経験的に分かっているため、強度の面から最低でもこのクリアランス量はほしいところです。セメントスペースだけでなく、ミリング不足を考慮したブロックアウト分や溝の形態分を合わせるとジルコニアの厚みが1mmくらいになってしまうこともあるからです。(最低厚みは0.8mmであると多くのメーカーが指示)
今回は、プライムスキャンのパラメーターの初期設定を変更する方法をお届けします。
写真のように、「対合歯までの距離」を色で判断できれば、形成の必要箇所が一目で判断することができるので、先生方の診療方針に合わせて調整されると大変便利です。
※同じプライムスキャンでも画面や数値が異なる場合があります。
①左上にある「D」マークにカーソルを合わせると
②画面右上に「設定(コンフィグレーション)」の項目が出てきます。
③「パラメーター・デバイス・設定」という項目が出るので、「パラメーター」を選択します。
④「形成分析」を選択
⑤これがパラメーターを変更できる「形成分析」画面です。
「最適な距離」と「許容値」バーにある白い丸を左右に動かすことで、パラメーター値と赤・青色の幅が変わります。先生のご確認しやすい設定に変更します。
⑥画面右下にある「出口」マークを選択して変更終了です。
⑦再形成後は、プライムスキャンに保存してある支台歯側の顎データを破棄して再スキャンすれば完了です。