フィットチェッカーを使用したレジンセメント検証

​近年、保険のCAD/CAM冠の適応症例が拡大し、今月からはインレーにも適応されることになりレジンセメントの重要性は大幅に増しています。そこで、クラウンとインレーの補綴物と３Dプリンター模型を用いてレジンセメントをどこに充填するかで異なる接着結果となるかの検証を行いました。

レジンセメントの代わりにGCのフィットチェッカーを使用して、顕微鏡下で確認して結果を検証します。フィットチェッカーは手練和時間が20秒と短いのですが、口腔内では模型上よりも操作が煩雑になることから同等の条件が再現できるものと仮定します。

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①クラウン（１番）　→　支台歯のみ充填 ②クラウン（１番）　→　クラウンのみ充填

③クラウン（１番）　→　支台歯とクラウンに充填

④インレー（６番）　→　支台歯のみ充填

⑤インレー（６番）　→　インレーのみ充填

⑥インレー（６番）　→　支台歯とインレーに充填 結果から述べますと、充填場所での違いは顕著ではなく、どれだけのスピードでまんべんなく塗布できるかという２点が重要だということが体感できました。接着時に補綴物をどれだけ圧接しても硬化し始めてしまえば、目視では接着がうまくいったようでも、顕微鏡で確認するとセメントが厚くなり、結果として前歯（特に１番１本のケース）では切縁が長くなり再調整が必要になったり、インレーでは辺縁の破折、厚いセメントによる歯周組織の後退につながります。

また、接着時に補綴物を圧接することによりフィットチェッカーが広がることを多少期待していたのですが、わずかでも足りない部分は足りないままに残ってしまっていることも確認することができました。 ①や⑤のように前歯支台歯やインレー体内面にまんべんなく塗布することは（技工士にとって）意外と操作時間を要することを実感しました。模型上での結果では、クラウンは補綴物側に、インレーは支台歯側にセメントを充填することが操作性が良いように感じられました。

下の写真は前歯クラウンにフィットチェッカーを充填して接着したものの内面の様子です。（模型からクラウンを外した時にマージン付近のフィットチェッカーは模型側に残存）

​手練和のためか、無数の気泡が混入していることが確認できます。

浮きの原因になるため、先に述べたような障害が発生します。

口腔内スキャナーは、印象剤と石膏による収縮・変形、スキャン誤差の少ない精度の高い印象を可能にしました。導入していただいた先生方には、設備投資を最大限に活かすため私どもがお作りした無調整の補綴物をぜひ臨床でフル活用していただきたいと考えております。